4.播種・植付の前に


4.播種・植付の前に

 4-1 株間・条間・畝間のこと


 野菜に限った話ではありませんが、個体がすくすくと成育するためには最低限の「広さ」が必要になります(個体群密度)。この最低限の「広さ」が確保できていないと、成育不良を起こしたり、病気にかかりやすくなってしまいます。お野菜の場合は「収穫期」の大きさを意識して株間を決めていけばいいでしょう。

 トマトやナスなどの大きく育つ果菜類、キャベツやハクサイなどの大型葉菜類は、1株50cm四方、コマツナやホウレンソウなどの小型葉菜類なら、1株10cm四方程度の広さを確保しましょう。

 

 

 4-2 方位と草丈


 太陽は東から昇って、西へ沈むことは常識ですが、その途中は意外と忘れがちだったりします。実は我が日の本、日本では太陽は天頂を通らず、やや南側を通って西へ沈んでいくのです。なので・・・区画の南側に草丈の高いものを植えてしまうと、他の作物は日陰になってしまい、生育に影響が出ることになります。大きくなる野菜は区画の北側に、小ぶりな野菜は南側に配置すると、すべての野菜にまんべんなく日が当たるようになります。

 畝に関しても同様の理由から、「西ー東」で作ることで、すべての野菜がまんべんなく日当たりを享受することができます。

 

 

 4-3 水やり


 市民農園を始めるに当たって、「毎日、水やりしなければいけませんか?」と質問を受けることが多いのですが、プランター栽培と違って、露地栽培ではあまり神経質にならなくても大丈夫です。露地の保水能力はプランターの比ではありません。あまり無責任なことは申せませんが、週末ファーマーでも十分、市民農園を楽しむことができるでしょう。

 基本的な水やりのタイミングは播種・定植直後、作物によっては発芽するまでの1週間程度、日照り続きが気になるときなどでしょうか。あとは1週間に1回程度の散水で十分です。ただし、何もしなくてもいいかというと、そういうことではありません。真夏の日照りは強烈なので、何かで日陰を作ってあげたり、敷き藁などでマルチングを行い保水効果を高めたり、不織布などでトンネルを作り蒸散を防いだり・・・と、季節や作物なりの工夫は必要です。また、砂質の強い農地ではこまめな散水が要求されることがあるかもしれません。土壌改良も農園らいふの楽しみ方のひとつと受け止め、最高のmy区画を作りあげて下さい。

 水やりに関して、もう一つ注意すべきことがあります。当然ながら、植物にもライフサイクルが存在します。水やりにもっとも効率が良い時間帯は朝だと言われています。これは光合成が活発化するお昼に向けて十分に水分を吸収しておく必要があるからです。午前中に十分な水分を吸収できなかったときは、必要以上の蒸散を避けるために、植物は気孔の開度を調節してしまいます。蒸散が抑制されてしまうと必然的に水分の吸収は進まなくなります。また、真夏のお昼前後は表土付近の水の温度が上昇するため、いわゆる「やけど」を負ってしまいます。真夏のお昼散水はもっとも避けるべき行為です。もし朝散水ができなかった場合は夕方の散水に切り替えましょう。

 

 

 

3.肥料のこと