3.肥料のこと

 3-1 お野菜は過保護がお好き


 野菜作りで欠くことができないものに肥料があります。自生している野草などは人が手をかけなくても元気?に育ってしまいますが、鑑賞用植物、園芸種、野菜などではそうもいきません。これらは、人間が長年、改良を重ね、食用部分を肥大させたり、花の発色を良くさせたりなど、かなり「いびつな形」でこの世に存在しているからです。要は「過保護」に育てないと、まともに成人できない・・・というイメージでしょうか。まぁ・・・手のかかる子ほど可愛いと申しますし・・・。

 

 

 3-2 肥料の三要素


 人間が「ごはん」を食べるように、お野菜も「ごはん」を食べます。動物であれば、エサが無くなれば狩場を移動して対処しますが、歩けない「野菜」では致命的です。そこで 肥料 の出番となります。

 野菜は、土中に含まれている養分を水といっしょに根から吸収します。不足すれば成長障害を起こします。

 そこで特に土中に不足しがちな、チッ素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)を中心に肥料を施します。ここで挙げたものは、おもに「体」をつくるもので、肥料の三要素と呼ばれています。

 

 

葉肥とも呼ばれ、主に葉や茎を生育させるのに有効な成分。特に葉物類に効果的。不足すると生育が悪くなり、病気にかかりやすくなります。実物野菜に過剰施肥すると「ツルボケ」となり実がならないことがあります。


実肥とも呼ばれ、実のなる野菜には欠かせない肥料です。不足すると根の生育や実のつきが悪くなります。初期から効かせるように、必ず元肥として施します。


根肥とも呼ばれ、植物の新陳代謝を促して根や葉を丈夫にする。病気に強い体をつくり、暑さや寒さへの抵抗力がつきます。不足すると、葉が黄色くなったり、開花が遅れたりします。


 上述したように、チッ素は「葉」、リン酸は「実」、カリウムは「根」に効くことから、それぞれの頭文字をとり・・・

「チリカハミネ」と覚えましょう。

 野菜は利用部位の違いで、葉物野菜(葉菜類)、実物野菜(果菜類)、根物野菜(根菜類)という分類があります。「感覚的」な分かりやすい分類方法なので、「チリカハミネ」を覚えていれば簡単に、自信を持って施肥ができますよね。

 

 3-3 有機肥料と化学肥料


 自然界にあるものを原料にした肥料を有機肥料、天然の鉱石などから化学的に合成した肥料を化学肥料とよんでいます。最近では「オーガニック」という言葉が一人歩きして、化学肥料を敬遠する傾向にありますが、決して悪いものではありません。有機肥料と化学肥料を上手に使い分けて、おいしい野菜をどんどん育てましょう。

化学肥料

植物が吸収しやすい状態になっているため即効性があります。追肥など作物の成長過程に応じた施肥に向く肥料と言えるでしょう。以下に主な化学肥料を記します。



化成肥料

チッ素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の配合合計が15~30%のものを普通化成肥料と呼ぶ。

チッ素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の配合合計が30%以上のものを高度化成肥料と呼ぶ。
  

 


配合肥料

必要な三要素を硫安や尿素などの単肥同士を混合し調整したもの。有機肥料も併せて混ぜたものなどもある。

 

 


緩効性肥料

成分が徐々に溶け出すように加工されたもので、効果が1~2ヵ月持続する。



※成分表示の見かた
化学肥料の袋に「NPK=8:8:8」などと書かれているのを見たことがあるでしょうか?これは、チッ素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)がどれくらいの割合で入っているのかを示しています。「NPK=8:8:8」の場合、チッ素、リン酸、カリウムが100g中それぞれ8gずつ入っていることを表しています。

有機肥料

土中の細菌や虫たちの力を借りて、植物が吸収できる状態になるため、効果が発現するまで時間がかかります。元肥など植え付け前の土づくりの段階で施肥することになります。



魚粉・骨粉

動物の一部または全部を粉砕発酵させたもの。魚粉はチッ素、骨粉はリン酸を多く含む。

 

 


油かす

ナタネや大豆から油を搾ったあとのかす。チッ素・リン酸を多く含む。

 

 


米ぬか

リン酸を多く含み、除草効果もある。安価。

 

 


堆肥

牛・豚・鶏など、家畜のふんや藁などを発酵させたもの。他の有機肥料に比べて栄養が少ないため、肥料として使うというより、土壌改良剤として利用する場合が多い。フカフカでやわらかい土になる。

 

 


草木灰

草や木を燃やしたもの。リン酸とカリウムを多く含む。石灰分が多いため酸度調整にも効果がある。



 

2.区画の作り方

 

4.播種・植付の前に